倉田百三
底本:「日本の名随筆 99・哀」作品社
1991(平成3)年1月25日第1刷発行
1992(平成4)年5月25日第4刷発行
底本の親本:「新装・倉田百三選集 第一巻」春秋社
1976(昭和51)年10月
入力:渡邉 つよし
校正:門田 裕志
倉田百三
お手紙を有難う御座いました。この頃は春らしくなりお天気つづきで東京もたのしさうになつたことでしょう。私は今朝本当に久しぶりに二分間程干棚に出て街の上にかかる青空と遠い山脈の断片とを偸み見ましたが、もう春が地上に完全に支配してゐるのを見て驚いた程でした。